「ヒメゴト~十九歳の制服~」でセンセーショナルな10代の性を描いた峰浪りょう先生が描く「少年のアビス」
これ・・・生まれ育った不遇な環境に絶望する10代の主人公が登場するのですが、読み進めていくと、主人公が、周囲からの異常な愛情を一心に受ける不幸な総受け気質だと判明する作品で!
モテすぎても幸せになれないんだなって思いながら楽しんでいます
でも、どんどんモヤモヤとハラハラが大きくなる作品で~
現在、コミックは9巻まで出ていますが、なかなかスカッとした展開がきません!(※2022/08/13現在)
こんなにかわいい顔をしている主人公!幸せになれないってどういうこと?!
気になりますよね~
ドラマ化も決定したということで!
どんな作品なのか?
紹介します
作品紹介
何もない町、変わるはずもない日々の中で、高校生の黒瀬令児(くろせれいじ)は、“ただ”生きていた。家族、将来の夢、幼馴染。そのどれもが彼をこの町に縛り付けている。このまま“ただ”生きていく、そう思っていた。彼女に出会うまでは――。生きることに希望はあるのか。この先に光はあるのか。“今”を映し出すワールドエンド・ボーイ・ミーツ・ガール、開幕――。
『少年のアビス』のあらすじ紹介
主人公「黒瀬 令児」について
2巻の表紙を飾る主人公の黒瀬令児(くろせれいじ)
閉塞感あふれる田舎町で母とひきこもりの兄と認知症の祖母と暮らす
家族の世話で疲れている母は、令児を頼りにしている
自分が母を支えなければと思うと同時に逃れられない不幸な環境から逃げだしたい気持ちも常に持っている令児
でも、逃れられない運命なのだとへらへらした笑顔でつらいことを乗り越える
さらに、令児は、母親の幼馴染である建設会社社長の息子の玄から、いじめられている
なのに、高校卒業後は玄の会社で就職することを母親が決めてしまう
絶望する令児
そんな彼の前に現れたのが、アイドルのナギ
スマホ越しのキラキラした世界で生きていたアイドルがなぜかこの田舎町のコンビニでバイトをしていた
令児の不幸な境遇を聞いたナギは「一緒に心中しよう」と令児を誘う
全てを終わりにしたい・・・こんなきれいな子と一緒ならば怖くない・・・
そうして、町で有名な心中スポット「情死ヶ淵」で、会ったばかりのナギと自殺をしようとする令児
でも、担任の先生に見つかって、一度目の心中は失敗に終わります
主人公「黒瀬 令児」のことを異常に愛する登場人物たち
担任の「柴沢 由里」
令児の担任の「柴沢 由里」(コミック4巻の表紙)
最初、出てきたときは、就職希望の令児のことを心配するごく普通の女教師だった
生徒たちから「柴ちゃん」と呼ばれ慕われている
コミックの2巻で、女性と心中しようとしていた令児を助けた由里
最初は、自殺しようとした令児を助けようと「よき先生」であろうとしてたが、実は、由里も、この狭い田舎町で問題を起こさず、粛々と生きることに鬱屈を抱えていた
誰にも必要とされていない29歳の孤独な由里は令児を愛することで承認欲求を満たそうとする
親友の「チャコ」
令児の幼馴染で親友の「秋山 朔子」
通称・チャコ
ぽっちゃりとした体形のメガネ女子。
女子高に通う優秀な生徒でありながら、つまらない毎日に対する愚痴を令児に吐き出す
将来はこの街を出て東京の大学へ行き編集者になることを夢見るチャコ
令児に片思いをしているのだが、突然、現れたナギに令児を取られそうになり焦る
母親の「夕子」
令児の母親の「黒瀬 夕子」
引きこもりの長男と認知症の母の面倒を見ながら、女手一つで家計を支えている
家族に縛られて、自由もない不幸な女性に見えるが・・・
実は、不幸な女性を演じることで令児を家に縛り付けている女なのです!
息子の周りで起こることはすべて把握していないと気が済まず、一生、令児を自分の手元に置いておくため様々な策を練る
息子の令児が「自殺をしようとしていた」ことを知り・・・
「わたしも連れてって」という夕子
幼馴染「峰岸 玄」
1巻の頃は、令児をいじめるヤンキーだった玄
が、読み進めると、令児に対して異常な執着を持っていることが判明
父親の建設会社のあとを継がなければならない玄も、この街から離れられない鬱屈を抱えてて、幼馴染の令児を道連れにしようと執着する
けれど、コミックの7巻で、街が出れない理由は、父親の会社を継ぐという理由ではないことが判明
幼い頃、玄は令児を守るため殺人を犯していた!
すべては令児を守るため・・・玄は何年もの間、ひとりで秘密を抱えていたのです
「少年のアビス」のここがおすすめ
生まれ育った町に縛られて、そこで一生を終えることが決まってる10代の主人公
コミックの1巻で出会った美しいアイドルのナギから「令児くんの人生・・・この先絶対につまんないだろーし」と言われ、心の中にあった鬱々とした気持ちがはっきりとした「絶望」に変わる
目の前には天使のような美しい女の子がいて、自分の人生の最後にこんな美しい子がそばにいてくれたらと心中を決意する気持ちには大きく共感ができる
なのに・・・
心中することは決まったのに、なかなか決行に移せない・・・
死ぬ前にまだやり残していることがあると令児の奔走がはじまります
そして見えてくるのが、令児を取り巻く周囲の人たちの令児に対する異常な執着愛
これも、小さな田舎町で一生を終えるという夢のない人生のせい?
令児以外の登場人物も、みんな、この町に縛られ生きていくことしかできない絶望を抱えた人たちなのです
「アビス」とは「深淵」という意味ですが、まさに、みんなが深淵に立ち、暗闇をのぞき込んでいる状態!
令児が幸せになれるのか?
気になって仕方ありません
そして、要所要所で登場するナギが、今後、どういう役割を担うのかも楽しみで!
鬱々とした出口がない作品がお好きな方におすすめしたい作品です